必要期間が25年→10年に短縮「年金10年」手放しで喜べない2つの理由

2017.08.16

ライフプラン

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必要期間が25年→10年に短縮「年金10年」手放しで喜べない2つの理由

2017年8月1日から、公的年金をもらうために必要な期間(受給資格期間)が短縮になります。これまで原則として25年掛けなければならなかった年金が、これからは10年掛ければもらえるようになるのです。これは、国民年金の制度が1961年にできて以来の画期的な改正であると言えます。この制度の変更、私たちの年金にどのような影響があるのでしょうか。詳しく見てみたいと思います。

これまでは25年掛けなければ年金はもらえなかった!

2017年7月31までの制度では、年金は原則として25年以上の保険料の払い込みがないと、老後を迎えてももらうことはできませんでした。

厚生年金や共済年金には生年月日に応じた期間短縮の特例が用意されていたほか、国民年金には免除の制度があったり、合算対象期間という救済措置が設けられていたりと、実際には25年掛けていなくても年金をもらえるケースもありましたが、それでも相当長期間、年金を掛けていないともらえなかったのです。

この25年という年月は、諸外国の例を見てもかなりの長期間であり、検討を重ねた結果、消費税が10%になればそれを財源として10年でもらえるようにするということで、2012年8月にまとまりました(社会保障と税の一体改革)。その後、消費税の10%への増税は2度見送られ、同時に年金の期間短縮も見送られてきましたが、2016年末に財源のめどが立ったとして、先行実施が決まったという経緯があります。

10年で年金をもらうために、何か条件があるの?

10年で年金をもらうためには特に条件などはなく、年金をもらい始める年齢になった時点で10年以上の保険料の払い込みが確認できれば年金をもらうことができます。今回の制度改正で特別な何かができたわけではなく、年金をもらえる人の裾野が単純に広がった、と言えると思います。

ただ、受給資格期間が10年になったからといって、喜んでばかりはいられません。当然落とし穴もありますので、詳しく見ていきましょう。

「年金10年」落とし穴1:年金の計算式自体は変わらない

掛けた月数が多いほど、年金は多くなる

今回変更となるのは、あくまで「年金がもらえるかどうか」の線引きだけです。これまで25年掛けてもらえた年金と同額を、10年の払い込みで手にできるわけではありません。10年掛けた年金は、10年掛けたなりの金額ということです。具体的には、国民年金だけ10年払い込んだ場合なら年額20万円弱、厚生年金だけでも多くてせいぜい年額50万円といったところでしょう。

あくまで掛けた月数が多ければ多いほど、年金額は多くなるようになっています。10年掛ければもらえるといっても、10年では老後の生活は安泰ということはありません。決して「10年は掛けたから、もういいや」というふうに考えないようにしてください。

「年金10年」落とし穴2:遺族年金の条件は変わらない

年金をもらっている人が亡くなった時、真っ先に思い浮かぶ保障といえば遺族年金ですが、10年掛けて年金をもらっていた人が亡くなっても遺族年金はもらえません。

遺族年金をもらえる条件はいくつかありますが、代表的なものに「亡くなった人が25年以上年金を掛けていたこと」というものがあります(これを「長期要件」といいます)。この25年という期間は、今回の制度改正でも変更になりません。つまり、25年以上かけていなければ、遺族年金を遺すことはできないのです。

ちなみに、国民年金に用意されている遺族保障に「寡婦年金」というものがありますが、こちらは10年でもらえるようになります。

手続きはどうすればいいの?

年金の手続き

2017年8月1日時点ですでに年金を受給できる年齢に達している人には、2月末ごろから順次黄色の封筒に入った手続き書類が郵送されています。年金事務所では事前受付も行っていたので、すでに手続きを済ませた方も多いと思います。まだ手続きを済ませていない方は、お早めに年金事務所で手続きを済ませてください。

また、今後年金をもらえる年齢に到達する人は、その時点で手続きを行うことになります。年金がもらえる年齢が近くなると、手続き書類が送られてきますのでそれから動いても問題ありません。

結局のところ、年金というのは、現役世代のうちはずっと保険料を払い込んでいくべきものです。法律上の義務というだけでなく、自分や家族の老後を支える基盤として充分に役立ってもらうためには、それだけ長期間の年金保険料の払い込みが必要となります。公的年金で基盤を形作った上で、不足があれば確定拠出年金や個人年金保険などを活用し、老後を快適に過ごしたいものですね。

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