私のもとにご相談にいらっしゃるお客さまの多くが、「投資に興味はあるけれど、なんだか難しそうだし、面倒でなかなか始められない」とおっしゃいます。もちろん投資は、メリットやデメリット、そしてリスクについてきちんと理解した上で始めるべきなのですが、それを学ぶ時間の確保や、自分に合った方法にたどりつくのが大変なのも事実。
そこで今回は、初めての方でも気軽に試せる投資アプリをご紹介したいと思います。まずはやってみて、投資を体感してみるのも立派な「学び」になるんですよ。
初心者におすすめ! 気軽にトライできる投資のアプリ、増えています
投資を始めてみたいけど、勉強する時間も手続きもする時間もない! 投資に回すお金なんて貯まってない! そんな風に思っている人にこそ知ってもらいたい、気軽にできる投資アプリが最近、増えているんです。
ここでは特に初心者でも始めやすい投資アプリを3つご紹介します。
15円からと少額ででき、ポイントも貯められる!おつり投資「トラノコ」
現金で買い物をすると、多くの場合「おつり」を受け取りますよね。これに着目したのが「おつり投資」サービス。なんと、「おつり」を受け取らずに、「おつり相当分」をそのまま投資に回してしまおう、という画期的なサービスなんです。
いくつかあるアプリから、データ連携先が豊富で、ポイントやマイルも貯めることができる「トラノコ」を紹介します。
「トラノコ」の概要
コスト | 月額利用料: 300円(税込) 出金手数料/1件: 300円(税込) 運用報酬: 純資産額の0.3%/年(税抜) 監査費用等の手数料: 純資産額の0.1%/年(税抜)が上限 ETF売買手数料: 純資産額の0.06〜0.1%/年 |
---|---|
投資の仕組み | あらかじめ決めた「設定金額」(100円単位、500円単位、1000円単位の3種)と買い物額との差額を「おつり」とし、その1カ月分の合計金額を運用資金とする。提携家計簿サービスを利用して算出する、クレジットカードや電子マネー等での買い物で出た「おつり」が投資対象となる |
最低投資額 | 5円以上1円単位 |
運用商品 | 3種の投資信託うち1つを選択(最終的な投資先はETF(上場投資信託))。いずれも地域ごとの株式や債券を組み入れ資産とする
・小トラ:安定重視。債券多め ・中トラ:バランス重視 ・大トラ:リターン重視。新興国多め ※資産構成割合は機動的に変わる ※運用はロボアドではなく、ファンドマネージャーが実施 |
どんな人に向いている? |
・証券会社に口座を開くのが面倒な人 ・少額から投資を始めてみたい人 ・投資してみたいけれど、勉強する時間がない人 |
トラノコの仕組み


「トラノコ」のメリットは、意識せずに自動的に投資ができることと、通常は数千円からでないと買えないETFをわずか5円から買えること。
メリットの一方で、気をつけたい点もあります。まずは手数料が高いこと。投資をしてもしなくても、利用するだけで月額300円かかります。そして、現金での買い物では投資ができないため、人によってはお金を使っている意識が薄くなり、使いすぎてしまう傾向になることもあるかもしれません。
証券会社を選んだり商品について学んだりする時間がない人が、投資を始めてみるツールとして活用するのに向いているアプリです。
2全てをお任せできる!ロボアドによるお任せ投資「ウェルスナビ」
ロボアド(ロボアドバイザー)とは、近年話題のロボット技術によって全自動で資産運用を行ってくれるサービス。投資目標やリスク許容度を元に資産配分だけを決めるタイプから、投資商品の購入やリバランス、再投資まで丸ごと運用してくれるタイプなど、どこまで任せられるかはサービスによって異なります。
今回は、お金を預ければ丸ごと運用を任せられる「ウェルスナビ」を紹介します。
「ウェルスナビ」の概要
コスト | 預かり資産3000万円まで: 年率1.0%(税別) 預かり資産3000万円を超える部分: 年率0.5%(税別) <出金しない期間6カ月ごとに設定される「長期割」がある> 50万円以上200万円未満: 0.01%(年率)※6カ月ごと 200万円以上: 0.02%(年率)※6カ月ごと 入金・出金・売買手数料等: 無料 |
---|---|
投資の仕組み | リスク許容度を決定して最低投資額以上の資金を入金すると、ETFが自動で買い付けられる。資金追加などで「現金」が資産評価額の一定割合以上になると、追加投資も自動でされる。
・口座開設の必要あり。リスク許容度の決定後、最短でその日の夜に買い付け、翌朝にポートフォリオ確認ができる ・半年に一度、自動でリバランスされる |
最低投資額 | 10万円(提携サービスによっては 30万円) |
運用商品 | ニューヨーク証券取引所に上場している海外ETF <投資対象の資産クラス> ・株式(米国株・日欧株・新興国株) ・債券(米国債券・物価連動債) ・オルタナティブ(金・不動産) |
どんな人に向いている? |
・証券会社に口座を開くのが面倒な人 ・スマホ1つで投資を全てお任せしたい人 ・プロに運用を任せたいが、高い手数料は払いたくない人 |

「ウェルスナビ」のメリットは、資産運用に詳しくなくても、自分のリスク許容度に合わせた投資を任せられることでしょう。しかも、運用を「人」に任せるファンドラップ等に比べて、ロボアドの方が圧倒的にコストを抑えられます。
そうは言っても、全て任せられる分、海外ETFを自分で買い付ける場合と比較すると、やはりコストはかかります。また、最低投資額が10万円のため、初めて投資をする人にはややハードルが高いと思われる点はデメリットかもしれません。
プロに運用を任せたいけれど、高い手数料はちょっと……という人におすすめです。
3元手0円で気楽に投資! ポイント投資「ストックポイント」
日頃の買い物で知らず知らずのうちに貯まるのが「ポイント」。このポイントに着目した投資サービスもたくさん登場しています。おまけのようにもらっていたポイントで投資できるという目新しさが良いですよね。
その中でも珍しい、ポイントで個別株を買える「ストックポイント」を紹介します。
「ストックポイント」の概要
コスト | 無料(提携先のポイントを原資とする) |
---|---|
投資の仕組み | まずは提携先のポイントをSP(Stockpoint)に交換。1SPを1円として、投資したい銘柄に疑似投資ができる。SPが1.01株相当分以上になると、本物の株式に交換できる(その際は提携証券会社の口座開設が必要となる) |
交換レート | 利用料:無料 提携先のポイントをSPに交換する場合 ドットマネー:100マネー→95SP SPを株式に交換する場合 1.01株相当分SP→1株 SPを提携先のポイントに交換する場合 100SP→98ドットマネー |
運用商品 |
以下5タイプ12銘柄 <海外銘柄タイプ(ETF)> ・上海株式指数 ・米国株指数30種 <生活応援タイプ(株式)> ・株式会社セブン&アイ・ホールディングス ・イオン株式会社 ・みずほフィナンシャルグループ ・KDDI株式会社 ・株式会社NTTドコモ <変動重視タイプ(株式・ETF)> ・ソニー株式会社 ・ソフトバンクグループ株式会社 ・日本株レバレッジ上場投信 <注目銘柄タイプ(株式)> ・株式会社サイバーエージェント <逆張りタイプ(ETF)> ・日本株ダブルインバース上場投信 |
どんな人に向いている? |
・ポイントは貯まっているけれど、全然使わない人 ・身銭を切って投資するのは怖い人 |

「ストックポイント」の一番大きなメリットは、身銭を切らずに投資にチャレンジできること。お金が減るのが怖くて投資を始められなかった人にピッタリのサービスです。
現在は、運用原資となる提携ポイントサービスが1つ(ドットマネー)と少ないのですが、近々セゾンカードの永久不滅ポイントもStockpointに交換可能になるとのこと。永久不滅ポイントは利用者が多く、また額がかなり貯まっている人もいると思われますので、本物の株式に交換できる日も近いかもしれませんね。
デメリットは、交換レートが悪いため、提携ポイントを現金に交換して自分で投資するよりかなりコストがかかることと、買える銘柄数が12と少ないこと。永久不滅ポイントとの提携後は、もっと選択肢が増えることを期待したいですね。
投資初心者の大きな壁、「お金がない」「減るのが怖い」「面倒くさい」をクリアにする投資アプリ。勉強や準備も大切ですが、投資は実践が何より大事。0円から始められたり、初期設定さえすれば全てお任せできたりと、いろんな意味で気軽に投資ができるアプリを活用して、まずはやってみる! のはいかがでしょうか。
今回、執筆いただいたのは
ファイナンシャルプランナー・鈴木さや子さん
ファイナンシャルプランナー(CFP)、DCプランナー1級、キャリアコンサルタント、ライフヴェーラ代表、みらい女性倶楽部代表、mamaTanoマネーサロン代表
家族が笑顔になれるための生活に役立つお金の知識を、セミナーやコラムなどを通じて情報発信。保険などの商品を一切販売しないFPとして活動中。専門は教育費・保険・マネー&キャリア教育、確定拠出年金。ファミリー世帯向け個人相談にも力を入れている。企業・学校・自治体で講演やワークショップも。二児の母。