「ねんきん定期便」という郵便物が届いていることに気付くものの、中を開けずに何気なくスルーする人が意外と多いようです。でもそれってもったいない! このねんきん定期便、あなたの将来受け取れる年金額がわかる、超重要な資料なんです。この機会に、ねんきん定期便の見方について一緒に見ていきましょう。
誕生月に届く!?「ねんきん定期便(年金定期便)」とは?
厚生年金や国民年金の加入者には、毎年誕生月に「ねんきん定期便」が送られてきます。このねんきん定期便、その時点で想定される将来の年金額がズバリ書かれています。老後資金のベースとなる年金額がわかるわけですから、老後のライフプランを立てる上で非常に役立つだけでなく、特に自らアクションを起こさなくても自動的に送られてくるので、活用しない手はありません。
あなたの年金が丸わかり!ねんきん定期便の見方を画像で解説
ねんきん定期便は、その書類をもらうときの年齢が50歳未満なのか、50歳以上なのかに応じて2つのパターンがあります。
1. 50歳未満の人に届くねんきん定期便
まず、50歳未満の人に届くねんきん定期便ですが、現時点までに支払った保険料に基づいた年金額が記載されています。
以下は、1973(昭和48)年8月生まれの男性に、44歳の時に届いたねんきん定期便のモデルです。これまで支払ってきた保険料は約759万円で、65歳からもらえる年金額は現時点で年額約94万円ということがわかります。ここに記載されているのは、あくまで現在までに支払った保険料に基づいた年金額ですので、60歳まで納付し続ければ、当然もらえる年金額も増えていきます。
50歳未満の人に届くねんきん定期便の見方

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- 各年金実施機関に問い合わせるときの番号が記載されています。
- 2
- 現時点での国民年金、厚生年金の加入期間が記載されています。国民年金は種別ごとの内訳、厚生年金は民間、公務員、私立学校の内訳が、最後に合計が記載されています。
- 3
- 現時点までに支払った保険料に基づいた年金額が記載されています。
なお、若い人など年金加入歴が短い人ほど記載された年金額は少なくなりますが、前述の通り今後保険料を支払っていくにつれて、この年金額も増えていきますのでご安心ください。
- 4
- これまで年金保険料をいくら支払ったのかが記載されています。厚生年金は個人負担分のみです。
2. 50歳以上の人に届くねんきん定期便
一方、50歳以上の人に届くねんきん定期便は、現時点の状態のまま60歳(60歳以上の人は現時点)まで年金加入を続け、60歳(60歳以上の人は現時点)で年金加入をやめた場合を想定して作られています。50歳以上の人のねんきん定期便に書いてある金額は、実際にもらえる金額にかなり近い数字になっていると言えるでしょう。
以下は、1960(昭和35)年8月生まれの男性に、57歳の時に届いたねんきん定期便のモデルです。この人の場合、64歳から老齢厚生年金が約90万円もらえ、65歳になると老齢基礎年金が約74万円追加となり、トータルで約164万円の年金額を受け取れることがわかります。
50歳以上の人に届くねんきん定期便の見方

- 1
- 各年金実施機関に問い合わせるときの番号が記載されています。
- 2
- 現時点での国民年金、厚生年金の加入期間が記載されています。国民年金は種別ごとの内訳、厚生年金は民間、公務員、私立学校の内訳が、最後に合計が記載されています。
- 3
- 65歳より前から年金(特別支給の老齢厚生年金)がもらえる人にだけ、その支給開始年齢とともにその時点での予想額が記載されています。支給開始年齢が2段階、3段階となる人もいます。
- 4
- 65歳からの予想年金額が記載されています。「いくつから」「どの種類の年金が」「いくら」もらえるかが記載されています。
3. ねんきん定期便の裏面
下記はねんきん定期便の裏面の記載例です。裏面は50歳以上・未満を問わず、似たような構成となっています。
ねんきん定期便の裏面の見方(50歳以上の人の場合)

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- 自分の年金の情報がウェブ上で見られる「ねんきんネット」への登録時、基礎年金番号に加えて、ここに書かれているアクセスキーを使うと、即時で登録ができて便利です。
- 2
- これまで年金保険料をいくら支払ったのかが書いてあります。厚生年金は個人負担分のみです。50歳未満の場合は表面に記載されているので、この欄はありません。
- 3
- ねんきん定期便がいつ時点で作成されたのかが記載されています。
- 4
- 直近1年間の年金の納付状況が記載されています。厚生年金の場合は給料やボーナスの標準報酬額も書いてあります。
ただ、ねんきん定期便には、将来もらえる年金の全てが記載されているとは限りません。次のような年金は載っていないのでご注意ください。
- 加給年金
- 振替加算
- 厚生年金基金の代行部分
- 旧共済年金の職域加算部分以外の3階部分(企業年金など)
- 60歳(60歳以降の人は現在)以降に積む予定の年金
ねんきん定期便で見逃してはいけない3つのチェックポイント
ねんきん定期便をもらったら、以下のポイントをぜひチェックしておきましょう。
ポイント1年金の加入期間
記録に間違いがないか、また、年金制度上大きな意味を持つ下記に挙げる期間をクリアしているか、またはその期間まであとどれくらいあるかをチェックします。
- 全体で10年(年金がもらえるかどうかの基準)
- 全体で25年(遺族年金が出るかどうかの基準)
- 厚生年金だけで20年(加給年金や振替加算がつくかどうかの基準)
- 1種類の厚生年金だけで44年(長期加入者の特例に該当するかどうかの基準)
ポイント2年金の支給開始年齢
50歳以上の人は年金の支給開始年齢が何歳なのかは見ておきましょう。特に支給開始年齢が複数ある人は要注意です(例えば、民間企業の厚生年金と公務員の厚生年金の両方に加入したことがある1961(昭和36)年4月1日以前生まれの女性など)。
ポイント3年金額
当然、年金額がいくらなのかはチェックすべきです。会社員として勤続期間が長い人は、老齢厚生年金の金額に注目しましょう。専業主婦(夫)の期間が長い人などは、老齢基礎年金の金額が大きな意味を持ちます。

なお、ねんきん定期便は毎年誕生月にハガキで届きますが、35歳、45歳、59歳の時だけはA4判の大きな封筒で届きます。A4判のねんきん定期便には、これまでの年金記録が全て記載されています。年金記録に誤りがないかどうかチェックし、誤りがあれば年金事務所に問い合わせるなどアクションを起こしましょう。
ねんきん定期便の見方、おわかりいただけましたか? 将来の年金額がおおよそ把握できれば、自分でどれだけの老後資金を用意すればよいのか、見えてくるはず。目標とする老後資金に足りない場合は、積立貯蓄はもちろん、今注目されているiDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)や企業型DC(企業型確定拠出年金)などを上手に活用するのも有効ですよ。
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今回、執筆いただいたのは
特定社会保険労務士・綱川揚佐さん
金融機関在籍中に1級ファイナンシャル・プランニング技能士資格を取得、その後建設会社等の勤務を経て、社会保険労務士資格を取得。
現在は社会保険労務士事務所を経営し、個人向けに年金に関するセミナーや年金相談を行うかたわら、法人向けの労務管理や労働・社会保険に関する手続き、相談業務も行っている。
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